カウンセリング広報だより
第27回 夫婦の会話改善法 夫編(2010・5.1)
心理カウンセラー 中島美佐子
男性は気持ちの表現が苦手で、話をするときは何を話すかという「内容」がいちばん大事だと思っています。内容重視の聞き方は、妻が一通り話した後、「何が言いたいの?」という質問に終結されます。このような態度は、気持ちを分かってもらえることがサポートになる多くの女性をときにイラ立たせます。
ここでは、妻との会話をもっと楽しいものにするための、いくつかのヒントをご紹介します。
まず最近、妻に「ありがとう」と言いましたか?マンネリ化によって感謝の言葉をすっかり忘れている、恥ずかしくて今さら言えない、という人は危険信号です。「ありがとう」が少なくなっていると感じる男性は、意識して言葉にしてみましょう。照れくさければ、メールで伝えるのもいいですね。感謝の気持ちは言葉にしなければ伝わりません。
「家庭のことは妻がやって当然」と思っていませんか。相手に依存しすぎない方がいいのは、夫も同じです。「相手に幸せにしてもらおう」というのは、立派な依存なのです。たとえば、「妻は毎日料理をしてくれるもの」という期待があると、作ってくれなかったときにがっかりし相手を責める気持ちが起こります。また、「してくれて当たり前」の感覚からは感謝の言葉も出ません。相手への感謝の気持ちが、投げかける言葉を変えるのです。
そして、夫婦の会話を改善させる最短の道は、妻の気持ちに注意を向けることです。これは日頃、「問題解決思考」で仕事に励んでいる男性にとっては、とても難しいことでしょう。
ここで大切なのは「相手は違う人」と知ること。妻であっても他人です。価値観も感じ方も考え方も違って当然。それに加え、妻にも問題を解決できる力が必ずあります。ただ、不安や迷いで、その力が弱っていることがあるだけです。自分とは違う人だと思えば、妻がどう考え、どう感じているのかを素直に聞くことができます。そして、代わりに問題解決しようというより、妻の力を信じて待つこともできるのです。
あなたの突きつけた結論や問題解決法に、妻は「分かってもらえない」感をつのらせ息苦しさを感じているかもしれません。そのことに、少し思いを巡らせてみてください。
忙しい毎日です。休みの日くらい、ゆっくりと奥さんの顔を見て会話をしてみませんか。「何を」話すかではなく、「夫と話をすること」そのものが、妻にとっては何よりのやすらぎやサポートになるのです。
参考文献 二松まゆみ(2008) 「夫婦仲がよくなるちょっとした習慣」 中経文庫