カウンセリング広報だより
第7回 失った命を「悲しむ」2-流産のお話(2006.10.1)
心理カウンセラー 中島美佐子
流産の経験がありますか。もしあるとしたら、どんなふうに乗り越えたでしょうか。
初期流産の頻度は、自然妊娠で約15%だそうです。女性の年齢が35?39歳では17?18%、40歳以上では25?30%と高くなります。このように考えると、流産を経験している女性は意外と多いのかもしれません。
前回お話ししたように、流産も「授かった命を失う」という喪失体験のひとつです。そして流産によって、不妊治療にかけた費用や時間、妊娠できるという自信、母であるという自己イメージなども同時に失います。
妊娠できた喜びを経験しているだけに、その落胆や悲しみは大きくなるかもしれません。「できることがあったのではないか」「赤ちゃんに申し訳ない」と自分を責める人もいます。不安が襲ってきたり、悲しんだり、恨んだり・・・。それは喪失を体験したときに起こる自然な反応です。
不妊治療中の流産は初期のものも多く、一つ一つ振り返っているよりも、次の治療を急いでしまうということが多いかもしれません。失ったことに直面するのはつらすぎて、次の治療を急ぐこともあるでしょう。
もちろん、次の妊娠を期待できるということはすばらしいことです。けれどもそのことが、今起こっている喪失体験の抑圧や否認、延期になってしまうとしたら、残念です。
流産は悲しい出来事のひとつです。無理に忘れようとしたり「早く立ち直ろう」と焦る必要はないのです。忘れようと無理をすると、悲しみが複雑になってしまい、精神的回復を遅らせることにもなりかねません。
悲哀の仕事の過程では、喪失を十分に悲しむことが大切です。それは、流産のことを忘れてしまうためではなく、いつでも自由に思い出せるように、心の中に「赤ちゃん」の居場所を作ってあげるために必要なことなのです。
悲哀の仕事にかかる時間は人それぞれです。焦らず、自分の気持ちに素直に耳を傾けてほしいと思います。
「悲しむ」ことが、元気になる一番の近道なのではないでしょうか。