カウンセリング広報だより
第13回 温度差、ありますか? (2007・10・1)
心理カウンセラー 中島美佐子
夫や妻と考えが合わなくて困った、という経験はありませんか。「子どもを持つこと」や「不妊治療」について、お互い気持ちがずれているように感じることはなかったでしょうか。
男性と女性では、ストレスへの対処法が違うといわれています。男性は、幼いときから「気持ちを抑えてじっと耐える」ことが男らしいとされて育っていますから、ストレスにも「我慢する」ことで対応するかもしれません。女性は比較的、周りの人に話を聞いてもらい、支えてもらうのが得意です。
たとえば、個人差もありますが、典型的には夫婦それぞれが抱く「サポートする」ことの意味も、違っているようです。多くの男性はサポーティブであることを、妻に対して「強くある」ことだと考えます。これは、自分の痛みや苦しみは表現しないという意味です。一方で、女性は男性のこのような態度からは支えられているとは感じられず、自分が抱えている気持ちを夫と「共有したい」と望むようです。気持ちを共有することで「今、自分はひとりではない」と心強く感じられるのでしょう。
男性は、この「気持ちを共有する」ということが苦手なのではないでしょうか。弱音を吐かずに妻の苦痛を消し去り、問題解決することが「サポート」だと思い込むばかりに、妻の不満や傷つきを受け止められない男性がたくさんいるのかもしれません。こうしてすれ違いが始まり、夫婦間の温度差につながっていきます。
女性は夫の態度を「無理解」ではなく、ストレスへの対処法が自分とは違っているのだということにまず気づくことが必要かもしれません。一方で、男性は励ましや問題解決はひとまず横において、ときには妻の「気持ちに寄り添う」ことが力強いサポートになるのだと知ることが大切です。
夫婦とはいっても別々の人間ですし、男性と女性という異性です。分かり合えないことがあるのも当然です。よりよい関係のためには、どちらかが悪いと決めつけるのではなく、困ったことへの対処法の違いからずれてしまった「コミュニケーション」を、もう一度見直してみる必要がありそうです。
参考文献 Read, J. 1995 'Counselling for Fertility Problems' SAGE Publications Ltd