カウンセリング広報だより
第25回 こころが動かされる話し方(2009.12.1)
心理カウンセラー 中島美佐子
「自分の考えや主張を分かってもらいたい」と思うことってありませんか。そんなときには、「気持ち」を率直に伝えることが大切です。
ここで、「気持ちを伝える大切さは分かるが仕事では必要ない、結論だけ話せばいいのではないか」という男性の声が聞こえてきそうです。
では仕事の例を挙げてみましょう。
「月末に残業する社員をもう一人増やして欲しい」と上司に訴えたいときです。問題は上司の考える残業する社員の人数と現場の考えが違っていることです。ここで感情的に対立してしまうと、どちらが正しいか、どちらが我慢するかということになってしまいます。その結果、人間関係がギクシャクして、仕事の効率も落ち現場で働く社員だけでなく上司にとってもデメリットとなります。
ここで、気持ちのアピールの登場です。「現在の人数で残業するのは、体力的にも精神的にも大変」「仕事が長引くことで帰りが遅くなるのはストレス」などと伝えます。これは「つらい、大変」という気持ちのメッセージになります。そして「何か別の良い方法で解決できないでしょうか」とお願いするのです。お願いされれば、誰でも何とかしなければという気持ちになるもので、お互いにとって受け入れやすくなるわけです。
「こうすべき」と「べき論」によってどちらがより正しいかを競うやり方では、対立するだけです。相手の気持ちが分かれば、「分かり合おう」「譲り合おう」と思えてきます。そのことで、お互いに納得のいく解決策を見つけられる可能性が、より広がるのです。
結論を急がずに気持ちを伝えることの大切さ、実感してみてください。
参考文献 平木典子(2008) 「人間関係が驚くほどうまくいく 言いたいことがきちんと伝わるレッスン」 大和出版