カウンセリング広報だより
第9回もうひとつの選択肢 -特別養子縁組と里親のお話-(2007.2.1)
心理カウンセラー 中島美佐子
わたしたちはそれぞれ、生き方の書かれている「人生の脚本」を自分の中に持っています。そして多くの脚本には、「家族を作る」という出来事が描かれています。その物語の途中でぶつかる壁が、「不妊」かもしれません。子どもが生まれないと、その後の物語を展開することができなくなるからです。
不妊治療は出産を手助けするものですが、そのほかにも「子どもを育てる」ことができる選択肢があります。
それが、里親や養子縁組です。たとえば養子縁組には、2種類あります。「普通養子縁組」と「特別養子縁組(昭和63年に施行)」です。
| 普通養子縁組 | 特別養子縁組 | |
| 目的 | 「家」の存続 | 子どもの福祉を重視 |
| 縁組の要件 | ||
| 養親 | 独身者も可 | 婚姻している夫婦 |
| 養子の年齢 | 制限なし | 原則として6歳未満 |
| 試用養育期間 | 特になし | 6ヶ月以上の養育期間 |
| 実父母・血縁との 親族関係 |
存続 | 縁組後は終了 |
| 戸籍の記載 | ||
| 続柄 | 養子・養女 | 実子と同様(長女・長男) |
| 身分事項欄 | 縁組事項記載 | 縁組・養子の記載なし |
普通養子縁組と特別養子縁組では、さまざまな面で大きな違いがあります。「家」の存続が目的ではなく、子どもの福祉を考え「家族の一員として引き取る」ための制度が、特別養子縁組だといえるでしょう。一方、里親の場合は養子と養親のように法律的な関係はありませんが、養子縁組をする前に里親として養育し、様子をみるという方法もあります。里親や養子縁組の相談は、児童相談所やNPO法人などのあっせん団体が行っています。
妊娠・出産は経験できませんが、養子縁組をすることで子どもを「育てる」ことができます。養子・里子との親子関係は、実の親子関係とは違います。でもそれは形が違うというだけで、関係の善し悪しや深さとは関わりがありません。
さまざまな事情で、産んでくれたお母さんお父さんに育ててもらうことができない子どもを養子や里子として育てる。そんな新しい物語を人生に書き加えることもできるのかもしれません。それが、「家族を作る」もうひとつの選択肢となります。
参考文献:斉藤益子ほか「養子縁組とカウンセリング」「不妊カウンセリングマニュアル」メディカルビュー社