最先端不妊治療ー不妊症の基本検査
不妊症の原因を知るためにさまざまな検査を行いますが、ここでは不妊症の7つの基本検査についてお話しましょう。
内診・視診
まず外陰部や大腿部を目で見て、外陰部の性器の発達の状態や陰毛の状態のチェックをします。
次にクスコと呼ばれる機械を膣内に挿入して、子宮膣部の形やビランの有無をチェックして、子宮頚部の癌検査を行います。
膣分泌物の多い方や匂いのする方には、スライドガラスの上に膣分泌物をのせて顕微鏡でカンジタやトリコモナスなどの有無を確認したり、一般細菌培養やクラミジアの検査を行います。
最後に内診をして、子宮の大きさ、固さ、可動性、卵巣嚢腫の有無、ダグラス窩に圧痛がないかを診察します。
子宮内膜症の疑いがある時には、直腸診も実施します。
超音波検査
主に不妊症の検査では、経膣プローブによる超音波検査をします。
まず、初めに来院された時には、子宮の大きさ、子宮筋腫、子宮腺筋症の有無、子宮内膜の厚さ、子宮体部ポリープや子宮の奇形がないかどうかを調べ、また、子宮と卵巣の間の癒着を調べます。
また卵管に著明な炎症があり、卵管水腫がある時も超音波で診断が可能です。
排卵の前には、卵巣内の主席卵胞(最も大きい卵胞)の大きさや子宮内膜の厚さを測ります。また、きちんと排卵したかどうかの確認をすることもできます。
基礎体温
毎朝一定の時間に、起きたら動きはじめる前に布団の中で、口の中に婦人体温計を入れて基礎体温を測っていただきます。基礎体温表には基礎体温、月経量や月経痛の有無、不正出血の有無、夫婦生活の日を記入していただきます。
通常、基礎体温は低温相が約14日間、高温相が14日間です。低温相と高温相の2相性かどうかにより排卵しているかまた排卵日はいつ頃だったのかがわかります。以前は最終低温日が排卵日だと言われていましたが、最近では最終低温日から高温相の2日目までの間に排卵が起こっていると考えられています。
また、高温相の基礎体温の状態から黄体機能不全の有無を診断します。低温相と高温相の温度差が0.3℃未満、高温相の日数が9日以内、高温相の途中で体温が一時低下する時は、黄体機能不全ありと診断します。
基礎体温表を継続して作成していただくことで、以前の表より今までにいいタイミングで夫婦生活が持てていたかがわかります。
不正出血のある方は、基礎体温よりその原因を推測することができます。
フーナーテストを含む頚管粘液検査
頸管粘液検査 Cervical Musus(CM)とは、卵胞の大きさ、子宮内膜の厚さ、尿中LHチェックより排卵日を予測し、排卵直前または排卵日に実施します。頸管粘液は排卵前には0.1ml/日ずつ増加します。不良例は再検査します。
- 【方法】
- シリンジで吸引した頸管粘液の量と透明度を観察した後、牽引性を診ます。さらに顕微鏡で細胞数を数えたり、、乾燥させて結晶形成を観察します。その他phを計測します。
- 【判定】
- 以下のスコアー表をもとに合計10点以上を正常とします。
| スコア- | 0 | 1 | 2 | 3 |
| 量 | 0ml | 0.1ml | 0.2ml | 0.3ml以上 |
| 粘度 | 厚い、高い粘着性 | 中間の粘着性 | マイルドな粘着性 | 水のような 弱い粘着性 |
| シダ状結晶 | なし | 非定型 | もとと第2の茎からなるシダ状 | 第3と第4の茎からなるシダ状 |
| 牽引性 | 1cm未満 | 1?4cm | 5?8cm | 9cm以上 |
| 細胞数/1視野 | 21個以上 | 11?20個 | 1?10個 | 0個 |
性交後試験 Post Coital Test(PCT)フーナーテスト Huhner Test
自然周期に実施します。クロミッドを服用している周期は頚管粘液が少なくなる事があるので実施できません。ただしクロミッドを使わないと卵胞が発育してこないような症例には、Day3よりクロミッドを5日間内服、Day9にHMG75単位を1日のみ筋肉注射して実施します。
必ず排卵日に実施します。検査当日の早朝に性交をしていただき検査します。性交後、12時間以内まではOKです。
頚管粘液が0.2ml以上なければ性交後検査の結果は不確実なので再検査します。その後の周期でやはり頚管粘液が0.2ml以上なければ頚管因子ありと診断します。
- 【方法】
- シリンジで頚管粘液を吸引し、膣分泌物を顕微鏡で観察し、膣内に精子が射精されているか確認します。400倍で頚管粘液を鏡検し、1視野中の全精子数と運動精子数をカウントします。およそ平均的な5視野を見ます。
- 【正常値】
- 400倍視野中の運動精子数
- 【判定】
- 400倍視野中の運動精子数が5個未満である場合には、性交後検査不良と判断して頚管因子ありと診断しますが、一度の性交後検査だけでは結論を出さないで再検査し、Miller-Korzrock test、抗精子抗体検査(immunobeads test、精子不動化試験)を実施します。
75%以上の不動精子を認める場合は免疫性不妊(抗精子抗体陽性)の場合があるので、抗精子抗体(immunobeads test、精子不動化試験)を検査します。
また、長期不妊症(結婚後5年以上または不妊治療歴2年以上)の場合は性交後検査が正常であっても抗精子抗体を検査します。
子宮卵管造影(HSG)検査
子宮卵管造影は卵管の通過性、卵管の癒着、子宮腔の状態を調べる検査です。
通常、月経終了後から9日目までに実施します。10日目以降は子宮内膜が肥厚し、子宮(卵管)内に管腔液が溜まり、子宮腔内像および卵管通過性に関して正確な情報が得られないため、検査に適しません。
実施前にはクラミジアの検査を実施し、陰性であることを確認してから実施します。
子宮、卵管、骨盤内の炎症が疑われるときは治療をしてから実施します。
検査実施後2日後まで、抗生物質を1回1錠毎食後、2日間服用します。
HSG検査にて妊娠率向上効果があるので、HSG施行周期の排卵日は逃さず必ず性交の指導をさせていただきます。
精液検査
くわしくは「男性不妊について」の精液検査の項目をご参照ください
ホルモン検査
月経の始まった日を1日目として、3日目から5日目までの間に血清のFSH、LH、プロラクチン、エストロゲンを測定します。
排卵の時期には尿中LHを、高温相(黄体期)の中期に、黄体機能を評価するために血清のプロゲステロンとエストロゲンを測定します。
| FSH (卵胞刺激ホルモン) |
下垂体から分泌されるホルモンで、卵巣に作用して卵の入っている卵胞を発育させます。 また、LHとともにエストロゲンの合成を助けます。 血清FSH値から、卵巣がどのくらいの排卵能力を持っているかが、わかります。血清FSHの値が非常に高いということは、卵巣の機能が非常に悪いことを意味しています。 |
| LH (黄体化ホルモン) |
LHには成熟した卵を排卵させ、黄体を形成させる作用があります。 排卵約34-42時間前にピーク状に分泌する(LHサージ)ため、排卵の時期を推定するために尿中LHを簡易測定キット(約2分で結果がでる)を用いて検出します。 |
| プロラクチン (乳汁分泌ホルモン) |
下垂体から分泌されるホルモンで、乳汁分泌ホルモンという名前の通り、分娩後の褥婦さんに大量に分泌されているホルモンです。 このホルモンは、男女ともに正常でも少量分泌されていますが、値が高くなると男女ともに不妊症の原因になります。女性では、プロラクチンの値が高くなるのにしたがって、黄体機能不全、無排卵、無月経になります。 |
| エストロゲン (卵胞ホルモン) |
エストロゲンは、卵巣の顆粒膜細胞というところから分泌され、卵胞期(低温期)の子宮内膜を厚くし、排卵前に子宮頚管粘液量を増加させる作用があります。 また、エストロゲンは自律神経や骨などにも作用しています。閉経後にエストロゲンの分泌が欠乏すると、自律神経失調症になったり骨粗鬆症になったりします。 |
| プロゲステロン (黄体ホルモン) |
プロゲステロンは、排卵した後に形成される黄体から分泌するホルモンで、子宮内膜に作用して内膜の正常を変化させて胚(受精卵)が着床しやすい環境にしたり、子宮の筋肉の緊張を低下させます。つまり、黄体期の中期のプロゲステロン値より黄体機能を評価することができます。 |
| プロゲステロン(ng/ml) | 卵巣機能 |
| 10.0以上 | 黄体機能正常 |
| 5.0?9.9 | 黄体機能不全 |
| 4.9以下 | 無排卵 |