最先端不妊治療ー不妊症の原因
不妊症は、妊娠の成立のところでご説明させていただいた、どの場所が障害されても、起こります。
不妊症の原因は大きく分けると、
- 性機能因子
- 男性因子
- 頚管因子
- 子宮因子
- 卵管因子
- 排卵因子
- 受精因子
- 子宮内膜症
- 免疫異常
これらの原因別にさらに詳しくお話しましょう。
性機能障害による不妊症
性機能障害には、男性の性機能障害と女性の性機能障害があります。
男性の性機能障害には、大きく分けると勃起障害と射精障害がありますが、異常がある場合には男性性機能障害治療の専門医師の診察をおすすめします。
女性の性機能障害には、解剖的に問題がある場合と精神的な場合とがあります。解剖的に問題のある場合には、例えば処女膜狭窄症などがありますが、そのような時には局所麻酔をかけて小手術を行います。
男性因子による不妊症
精液量が少ない、精子数が少ないまたは精子がいない、精子の動きが悪い、形の悪い精子が多い、精液中の白血球が多い 場合があります。
くわしくは男性不妊症についてをご参照下さい。
頚管因子による不妊症
排卵日が近くなると子宮の入り口は、子宮頚管から分泌された頚管粘液で満たされています。この頚管粘液は精子の通りを助けています。
頚管粘液の量が少なかったり、子宮頚管部に子宮筋腫があって精子が子宮の奥に進めないと頚管性の不妊症になります。
子宮因子による不妊症
| 先天性子宮奇形 | ● 子宮は、左右のミュラー管がひっついて発生する臓器です。その癒合の異常によって、先天性子宮奇形が発生します。 ● 先天性子宮奇形には、弓状子宮、不全中隔子宮、中隔子宮、双角単頚子宮、双角双頚子宮、分離重複子宮、単角子宮があります。 |
| 子宮筋腫 |
● 平滑筋でできている子宮の筋肉から発生する良性腫瘍で、石のように固い腫瘍です。約5%は子宮頚部に発生し、約95%は子宮体部に発生します。 ● 発生部位によって、筋層(壁)内筋腫、しょう膜下筋腫、粘膜下筋腫に分類されます。 ● 粘膜下筋腫ができると、月経の量が多くなります。 ● 不妊症ともっとも関連があるのは、粘膜下筋腫です。 |
| 子宮内膜ポリープ |
● 子宮内膜が有茎上に発育したもので、子宮卵管造影、超音波検査や子宮鏡などによって発見されます。 |
| 子宮内腔癒着症 | ● 子宮内膜の炎症後に、子宮の内腔がひっついたもので、子宮内容清掃術(人工妊娠中絶術や自然流産後の手術)や分娩の後に発生し、癒着の程度がひどくなると月経量が少なくなります。 |
| 子宮内膜機能異常 (黄体機能不全) |
● 排卵後の卵胞から黄体ができ、そこから黄体ホルモン(プロゲステロン)が分泌されます。黄体ホルモンは視床下部にある体温調節中枢に作用して基礎体温が低温相から高温相になります。また黄体ホルモンは排卵前に卵胞ホルモンの影響によって約1cmぐらいになっている子宮内膜に作用して、着床しやすい内膜に変化します。 ● 子宮内膜機能異常は、その黄体ホルモンの分泌が悪いか、子宮内膜の反応が悪い時に発生します。 |
卵管因子による不妊症
卵管は、全長10cmの管で、卵管間質部、卵管峡部、卵管膨大部の3つに分類され、非常に細いところでは約1mmしかなく、精子の移送や受精卵の発育・移送を担っている重要な管です。
| 細菌感染 | ● 卵管因子による不妊症の原因の大部分は細菌感染で、膣から侵入した細菌が、子宮頚管、子宮腔を経て卵管に達する上行性感染によるものが大部分をしめます。 ● 原因菌としては、大腸菌、溶連菌などの他に、性行為感染症の梅毒、淋菌、クラミジアがあります。 |
| 子宮内膜症 | ● 子宮内膜症により卵巣と卵管の癒着が生じて卵管因子による不妊症が発生することがあります。 (詳しくは以下の子宮内膜症による不妊症の項をご参照ください。) |
| 卵管閉鎖・狭窄 | ● 卵管間質部閉塞、卵管峡部閉塞、卵管膨大部閉塞(卵管留水腫)があります。 |
| 卵管采周囲癒着 | ● 卵管采の周囲が癒着すると、卵管采の動きが悪くなって卵をうまく捕獲することができなくなります。 |
| 卵管内膜障害 | ● 卵管内膜が障害されると、胚の発育が障害されたり、胚の移送が障害されます。 |
| 卵管采の卵子ピックアップ障害 | ● 卵管采の周囲に癒着がなくても、卵管采が非常に小さかったりまた卵管采がほとんどなかったり、通常は卵管采の中心にあるはずの卵管口が、偏縁にあったり、開口部が卵管采の部分でなく異所性にあると卵子のピックアップ障害が起こります。 |
排卵因子(内分泌因子)による不妊症
| 視床下部 | ● 視床下部からはLH-RHが分泌し、その影響で下垂体からはFSH(卵胞刺激ホルモン)とLH(黄体化ホルモン)が分泌して排卵がコントロールされていますが、この視床下部と下垂体のどちらが障害されても無排卵になります。 |
| 多嚢胞性 卵巣症候群 |
● 多嚢胞性卵巣症候群とは、卵巣表面に直径約5mm程度の卵胞が真珠のネックレスのように多数存在する病気で、その多数の小さい卵胞はそれ以上の大きさにはならないで、男性ホルモンであるアンドロゲンが増加して、卵巣表面の膜が厚くなってうまく排卵できなくなり、月経異常(無月経、希発月経、無排卵性月経周期)を起こします。 ● 糖代謝の異常や甲状腺機能の異常を合併しているかたもいます。 |
| 卵巣障害 | ● 染色体異常(主にTurner症候群) ● 早期卵巣不全-40歳前に閉経がきてしまう方で、その原因は、卵巣内の卵子のもととなる細胞の減少、免疫系の異常、癌の治療による放射線療法や化学療法が考えられます。 ● ゴナドトロピン不応性卵巣症候群-下垂体からは、排卵を司っているホルモンが大量に分泌され、また卵巣にも原始卵胞が多数認められているにもかかわらず、卵胞が成長してこない疾患で、卵巣にある下垂体から出ているホルモンのレセプターの異常が考えられます。 |
| 高プロラクチン血症 | ● プロラクチンは、脳の中にある下垂体から分泌されているホルモンで乳汁分泌ホルモンのことです。本来は分娩後の授乳婦に大量に出ているホルモンですが、妊娠していない女性やまた男性にも少量分泌されています。プロラクチンの値が高くなると男女ともに不妊症の原因になり、女性では黄体機能不全、無排卵、無月経になります。 |
| 甲状腺疾患 | ● 甲状腺ホルモンは、卵胞の中にある顆粒膜細胞に作用して、下垂体から分泌されているFSH(卵胞刺激ホルモン)の働きを増強し、かつ黄体化に関連しているために、甲状腺ホルモンが減少すると無排卵になります。 |
| 体重 | ● 太ってもやせても排卵障害の原因になります。 ● 肥満による排卵障害として、最も有名な疾患は多嚢胞性卵巣症候群です。(上記ご参照ください。) ● 多嚢胞性卵巣症候群以外にも単純な肥満ではなく、糖尿病や副腎疾患によって肥満になっている場合もあり、少しでもやせると妊娠しやすくなります。しかし、無理に食事制限して体重を減らすのではなく、運動と軽度の食事制限をして徐々に体重を減らす必要があります。 ● 体重減少性の排卵障害の原因としては、本人の意思によるダイエット、神経性食欲不振、環境の変化やストレスがあります。ダイエットをすることが、体にストレスとして作用し、ホルモンのバランスを壊して排卵障害になります。神経性食欲不振症の治療は、婦人科だけで行うのではなく、心療内科や精神科と連携を取りながら治療をしていきます。 |
| 黄体化未破裂 卵胞症候群 |
● 成熟した卵胞が破裂しないでそのまま黄体化してしまうもので、基礎体温は2相性できちんと排卵したように見えますが、実際には排卵は起こっていないものです。 ● この症状が1回認められたからといって、次周期も必ず繰り返すとは限りません。繰り返す場合は、子宮内膜症が合併している場合があります。 ● 毎回この症状があるときは、体外受精の適応になります。 |
受精因子による不妊症
受精のしくみについては、妊娠成立の精子と卵子の出会いの項のところでお話ししましたが、受精障害は、卵側と精子側のどちらの側のどの時点でも起こります。原因不明の不妊症の中で受精障害の有無が診断できるようになったのは、体外受精や顕微授精を実施するようになってからです。
子宮内膜症による不妊症
子宮内膜は、子宮体部の内腔にある膜で卵巣から分泌されるホルモンの影響で肥厚し、妊娠しないとはがれて月経が起こります。子宮内膜症とはこの子宮内膜が子宮内腔以外の、骨盤の腹膜や卵巣などの中に入り込んでいる症状のことをいいます。子宮内膜症があると月経痛がひどくなったり、性交時痛が起こります。
子宮内膜症には、子宮筋層内にできる内性子宮内膜症(子宮腺筋症)と子宮以外の臓器にできる外性子宮内膜症があります。また、卵巣にできたものをチョコレート嚢腫と呼びます。
いろいろな検査をして原因が判らない場合、腹腔鏡検査を行うと約35%で子宮内膜症が発見されます
症状がひどくなり、卵巣にチョコレート嚢腫ができると正常な卵巣組織が少なくなって排卵が起こらなくなったり、黄体化未破裂卵胞症候群が起きたりします。
また、卵管が子宮に癒着すると、卵のピックアップができなくなる事もあります。
免疫異常による不妊症
| 抗精子抗体 | ● 頚管粘液の中に、精子に異常を与えるような抗精子抗体と呼ばれる抗体を持っている方では、射精された時は問題がなかった精子が頚管粘液に触れると動かなくなったり、受精する能力がなくなったりします。 |
| 抗透明体抗体 | ● 自分の卵子の透明体に対する抗体を持っていて、卵子の発育が障害されるときもあります。 |