カウンセリング広報だより
第20回 円滑に会話を進めるには ~代弁しない~(2008.12.1)
心理カウンセラー 中島美佐子
会話がうまくいかない時、誰かの気持ちや考えを気づかすに代弁していることがあります。代弁されると、聞いた方は相手の真意がはっきりせず、代弁している人に対して反感を持ち「分かってもらえない」思いから不満がエスカレートすることがあります。
不妊治療中の夫婦の会話で代弁が行われるとどうなるか、みてみましょう。
妻「今日病院で、先生に体外受精はどうかって言われて・・・。そこまで考えてなかったからショックで。」
夫「先生はそれがいちばんいいと思ったんだろう」
妻「でも、あんまり突然で」
夫「仕方ないだろう。結果が出なかったんだ」
妻「そうだけど、わたしはもう少し人工授精でもいいかと思っているのよ」
夫「先生は専門家なんだから、正しい判断をしたまでだよ」
妻「それはそうだけど・・・。あなたに話しても分かってもらえないわね!」
夫は先生の考えを代弁しています。これを、代弁せずに聞いてみると・・・。
妻「今日病院で、先生に体外受精はどうかって言われて・・・。そこまで考えてなかったからショックで。」
夫「まだそこまで考えてなかったんだね」
妻「そうなの。もう少し人工授精をしてみようと思ってたから」
夫「そうだね」
妻「体外受精を急かされてしまった気がして」
夫「そう」
妻「でも、先生はいちばん可能性のある方法を言ってくれたのよね」
夫「そうかもしれないね」
妻「体外受精も考えてみようかしら」
夫「そうだね。二人で考えよう」
話を聞くときは代弁しないで、「そうなんだ」と話を受け入れるのがコツです。話し手の感情の高まりが少しずつおさまってきます。分かってもらえたと感じられるからです。
相手が感情を爆発させているようなときは、「そうね」(意見に一応納得できるとき)と「そうかな」(意見に納得できないとき)の二種類でおだやかに応えます。そうすると、相手の話す量がだんだん増えて、相手のこころがよく分かるようになります。やがて、不満や怒りがトーンダウンしていくのが分かります。
ほんの少しの努力で、会話は見違えるほど変化するはずです。一度、試してみませんか。
参考文献 東山絋久(2003) 母親と教師がなおす登校拒否創元社