カウンセリング広報だより
第15回 心の中では素直に (2008・2・1)
心理カウンセラー 中島美佐子
「周りの人の妊娠を喜べない」。こんな話をよく聞きます。「不妊」を抱えている方は、「子どもが欲しいのになかなかできない」というフラストレーションの中にいます。周りからのプレッシャーも大きいかもしれません。そんな中、誰かから妊娠や出産の知らせが来たら・・・。
ちょっと想像してみてください。あなたの大切な友達が、不妊に悩み治療中だとします。その人は何度か治療を受けていますが、なかなか妊娠できないでいます。そして、友達が言います。「妊娠した人に、おめでとうと言うのがつらかった。心から喜んであげられなかった」と。こう聞いて、あなたはどう感じますか?「人の幸せを喜べないなんて、ひどい人だ」と思うでしょうか。
人の幸せを喜べないのは、いやなものです。できれば心から喜んであげたい。でも、余裕がなくて、人の喜びに追いつけないときもあります。「どうしてわたしだけが・・・」という気持ち、置いていかれたような焦りや、傷つき。そして、人の幸せをねたむことへの自己嫌悪。
でも、どんなにつらいときも、同じように他人の幸せを喜べる人は、それほど多くないでしょう。自分が苦しいときには、人の幸せに傷ついてしまうことがあっても、仕方がありません。自分にはつい、厳しくなってしまいがちです。友達が同じ立場だったら・・・と考え、自分を少し甘やかしてあげましょう。
それに、マイナスに思える感情も無理にどこかへ押しやろうとしないほうがいいのかもしれません。自然に生じてくる感情は全部、どんな気持ちであってもそれはそれと認めてあげていいのではないでしょうか。抑え込もうとしたり、こんなことを思う自分は悪い人間だと自分を責めたり卑下したりして余計に苦しみが大きくなることもあるからです。
心の中では素直でいていいのです。いやな自分は、自分自身の一部であって、すべてではありません。そう考えてみるのは、どうでしょうか。